この記事内には、ご紹介する商品を閲覧・購入できるように広告リンクを設置しています。気になった商品やサービスがありましたら、ぜひリンク先をチェックしてみてください。
普通、1つの国に「元首」と呼ばれる人は1名のみ存在します。アメリカなら「アメリカ合衆国大統領」が国家元首と呼ばれています。
でも、このページのタイトルは「マレーシアの “各” 元首の誕生日」となっています。「各」ってなんだ?複数いるのか?と思われるかもしれません。
というわけで、元首の誕生日を祝うマレーシアの休日の説明と同時に、「元首」から見るマレーシアという国について説明したいと思います。
アゴン (Yang di-Pertuan Agong) とは?
マレーシアは立憲君主制で、憲法によって「アゴン (Yang di-Pertuan Agong)」が国家元首となることが定められています。
アゴンという地位は、単一の王家内での世襲で決まるわけではなく、マレー系の9つの州の王様 (スルタンまたは他の称号で呼ばれる) の中から選挙で選出されることになっています。
アゴンはマレー諸州の統治者会議で選出され、任期は5年と決まっています。任期を終えると次のアゴンへとその地位が引き継がれます。
マレーシアにある13州のうち、マラッカ州、ペナン州、サバ州、サラワク州にはマレー系の王様は存在しません。その代わりに「州元首」と呼ばれる元首がいますが、アゴンに選出されることはありません。
アゴンは国民統合の象徴的な役割が強いものの、マレーシアの政治において重要な権限を持っています。
例えば、マレーシアの首相や大臣の任命、国会の開会や解散の宣言、国軍の最高司令官としての役割も持ちます。全ての権限はマレーシア憲法によって定められている範囲に限られており、政府の助言で役目を果たすことがあります。
最近のマレーシアでは、総選挙の際に圧倒的多数を持つ与党が形成されないため、首相選出時にアゴンの役割が重要となる場面が多くありました。国会議員に聞き取りを行ったりしながら、誰が一番の支持を得ているかを確定するという重要な任務を果たされました。
マレーシアの国家元首「アゴン」の誕生日は、マレーシア全体で休日となっていて盛大なお祝いの行事が催されます。5年に1度という高頻度でアゴンが変わるため、個別の君主の誕生日ではなく、毎年同じ日 (6月の第1月曜日) が形式上アゴン誕生日として法律で定められています。
アゴン誕生日の朝には、王宮 (Istana Negara) の玉座から、アゴン陛下による国民に対する演説が行われます。この演説はテレビやラジオで全国に放映されます。その後、マレーシアで功績を残した人たちに対する勲章の授与や表彰が行われます。首都では誕生日を祝うさまざまなイベントが開催され、その様子が全国に配信されます。
州の君主・元首とは?
マレーシアの13の州にはそれぞれ元首がいます。以前、今のマレーシアと呼ばれる地域には、小さな独立王国 (首長国) が存在していました。今でもそのような経緯から、それぞれの州に元首がいてある程度の自治権を持っています。
それぞれの州の元首は、スルタン、ラジャ、州元首、ヤン・ディパートゥアン・べサールといった称号で呼ばれます。
スルタン (Sultan) とは、イスラム教の地域を治める世襲制の「王様」のことです。スルタンはイスラム教徒で、その地位は世襲で引き継がれます。スルタンは州の中で大きな影響力を持っていて、政府機関、学校、郵便局にはスルタンの写真が飾られています。
スルタンが即位しているのは、ケダ州、ペラ州、クランタン州、スランゴール州、トレンガヌ州、パハン州、ジョホール州の7州です。
プルリス州の「王様」はスルタンではなく、ラジャと呼ばれます。持っている権限はスルタンと同じです。
ヌグリ・スンビラン州の「王様」は、ヤン・ディパートゥアン・べサール (Yang di-Pertuan Besar) と呼ばれます。現在、州の王様はウンダン (Undang) と呼ばれる州内の4人の首長の中から互選で選出されます。
州の王様がいないペナン州、マラッカ州、サバ州、サラワク州の元首は「州元首」と呼ばれ、州首相の推薦に基づきアゴンによって任命されます。