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人称代名詞はマレー語で “Kata Ganti Nama Diri” と言います。マレー語の人称代名詞は、人の名前の代わりに人を指して使われる単語ですので、物や動物を指して使うことはできません。
マレー語の人称代名詞は、一人称 (自分)、二人称 (話し相手)、三人称 (第 3 者) に分類され、さらにそれぞれが単数と複数へ分類されます。
マレー語は日本語と同じように、状況や立場によって異なる人称代名詞を使い分ける必要があります。使い方を間違えると失礼になってしまうこともあるので注意が必要です。
マレー語の人称代名詞一覧
マレー語の一人称
マレー語で「一人称代名詞」は “Kata Ganti Nama Diri Pertama” と言います。自分自身を指す代名詞です。
日常会話で一般的によく使われる形です。丁寧な言い方なので、これさえ使っていれば基本的に問題が起こることはありません。
- aku/daku (あたし、俺、僕): 身近な友達同士などの親しい仲で使われる表現です。歌詞や詩の中でよく使われています。また、神様に祈るときには、”Saya” ではなく、”Aku” を使います。直前の単語が “n” で終わる場合 “aku” は “daku” に変化します。
- beta: 王やスルタンから国民に対して話すときに使われる形です。
- patik: 民から王やスルタンに対して話すときに使われる形です。
- hamba: 一般名詞の “hamba” には「奴隷」や「僕」という意味がありますが、人称代名詞の “hamba” には、圧倒的に上位の人に対して話すときに使う謙譲語です。ただし、現代では使われることはなく、昔の文章や物語で使われています。
自分プラスアルファを指す一人称の複数形には次の 2 種類があります。日本語では特別意識しない使い分けが必要なので注意が必要です。
一般的に使う「わたしたち」です。話し相手も全員含んでいます。通常は、こちらを使っておけば OK です。
話し相手を含まない「わたしたち」とも説明されますが、相手と自分たちの立場の違いをはっきり示すために使います。
使い方を間違えると、相手を突き放しているように聞こえることもあるので使い方に注意が必要です。
例 1) × “Kita tinggal tidak jauh dari sini,” kata Taro dan Hanako kepada Jiro.
例 2) ○ “Kami tinggal tidak jauh dari sini,” kata Taro dan Hanako kepada Jiro.
日本語に訳すと、どちらも「”私たちはここから遠くない所に住んでいます” と太郎と花子は次郎に言いました」となりますが、例 1 は間違いです。遠くない所に住んでいるのは、話しかけている太郎と花子だけで、話し相手の次郎は「私たち」に含まれないためです。
マレー語の二人称
マレー語で「二人称代名詞」は “Kata Ganti Nama Diri Kedua” と言います。話し相手を指す代名詞です。
状況から必要とされる丁寧さや、相手との親しみ度に合った代名詞を選択してください。また、相手の立場を示す称号や呼びかけ方も使う事ができます。
マレー語の二人称の単数形には次のようなものがあります。
相手の年齢や性別を問わず使うことができる丁寧な表現です。広告や講演会などの公の場で、不特定多数に対して呼びかけるときに使う表現です。
こうした背景から、丁寧なのに、どこか無味乾燥な、暖かさのない表現になってしまいます。普通の会話で使っていると、いつまでたっても友達にはなれないかもしれません。
日常会話で使われる親しみのある表現です。同年齢から年下の人に対して使うことができます。マレー人にとって “awak” がより丁寧で、”kamu” は少し見下したような印象を与えるようです。
逆に、華人たちにとっては、”kamu” が丁寧で、”awak” が見下した表現ととらえられています。場所や民族によって異なることがあるので注意してください。
身近な友達同士などの親しい仲で使われる表現です。歌詞や詞の中でよく使われています。また、神様に祈るときには、”Anda”、”Awak”、”Kamu” ではなく、”Engkau” を使います。
直前の単語が “n” で終わる場合 “engkau” は “dikau” に変化します。
祈りの中で、神様に対して二人称で呼びかけるときには、”Engkau”を使わなければなりません。
例 1) × Semoga Anda berkati kami.
例 2) × Semoga Kamu berkati kami.
例 3) ○ Semoga Engkau berkati kami.
“Engkau”以外の二人称の呼びかけは不敬な表現とされます。
ただし二人称の代名詞を使わず、”Allah”、”Tuhan”、”Bapa” などの称号や、神様の固有の名前を使うこともできます。
英語が浸透しているマレーシアでは、マレー語の会話中に、突然英単語が出てくることがあります。英語の “you” は、そんな英単語の 1 つで、どんな相手に対しても気兼ねなく使える表現です。
二人称の複数形は、この 1 つだけですが、あまり使われることはありません。
マレー語の三人称
マレー語で「三人称代名詞」は “Kata Ganti Nama Diri Ketiga” と言います。自分と話し相手以外の第三者を指す代名詞です。
性別に関係なく、人や神様を指して使う表現です。動物や物のことを “Dia” と呼ぶことはできません。主語に限って “ia” を使う場合がありますが、ほとんどの場合に “dia” を使います。
マレー語では、動物、物、場所、抽象名詞を指して三人称代名詞を使うことができません。代わりに指示代名詞を使って表します。
日本語でも自分の大切にしているペットに対して「あの子」とか「あいつ」などの、人を指す人称代名詞を使いますが、マレー語でも同じです。
- beliau (あの方): 社会的立場の高い人を敬意を込めて指すときに使う表現です。
- baginda: 王やスルタンを指すときに使われる形です。
自分や話し相手を含まない複数の登場人物を指して使われます。
マレー語の人称代名詞の短縮形
人称代名詞の短縮形は、接辞のように他の単語とくっついて 1 つになる形です。語気を弱めたり、文章を簡潔に短くしたり、無駄な反復を避けたりするのに使います。
日常会話でよく使われるのは三人称の “-nya” です。ただし、”-nya” を使う場合、その対象者が文脈で分かっている必要があります。
短縮形は、単語と一体化して表記されます。スペースは必要ありません。
Saya dengar Abdul kena sakit.
アブドゥルが病気だと聞きました。
Iakah. Kalau begitu, saya cuba melawat rumahnya.
そうですか。じゃあ、彼の家をのぞいて見ますね。
※ “-nya” が誰を指しているかが文脈から分かる時にのみ使えます。
通常人称代名詞の短縮形は、別の単語と一体化しますが、代名詞によって指される人物が神様である場合に限って、次のように表記します。
O Bapa kami yang di syurga, semoga nama-Mu disucikan.
X Bapa kami yang di syurga, semoga namamu disucikan.
訳: 天におられるわたしたちの父よ、あなたのお名前が神聖なものとされますように。(聖書の主の祈りより)
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