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マレーシア政府、中国主導の鉄道建設大型プロジェクトを中止へ (2018.07)

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先日、すごいニュースが飛び込んできました。なんと、マレーシア中国間で進められていた、長距離鉄道計画が中止になったというのです。

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長距離鉄道計画とは

中国を主導とする長距離鉄道計画は、2017年9月に立ち上げられた大型プロジェクトです。マレーシアの東海岸からマラッカ海峡までをつなげるプロジェクトで、「 東海岸鉄道建設 ( ECRL ) 」と呼ばれています。

下の地図の太赤線が建設予定の路線。右上マレーシアの北東部に位置するコタバルという都市からクアラトレンガヌ、クアンタン、その後マレー半島を横断して最後は左手のポートクランまで抜ける鉄道計画です。

SPAD公式ホームページより

中国政府の「一帯一路」の一環?

マレーシアの長距離鉄道計画、と聞くと普通マレーシア政府が計画を立て、自国なり他国なりの建設会社に建設を依頼するイメージではありませんか?

ところが、この鉄道建設は最初から、「一帯一路」構想を掲げる中国側の主導のもと行われている建設計画だというのです。

中華人民共和国(中国)が形成を目指す経済・外交圏構想のこと。略称「OBOR」。2013年に習近平国家主席が提唱し、14年11月に中国で開催された「アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議」にて広く各国にアピールされた。中国西部-中央アジア-欧州を結ぶ「シルクロード経済帯」(一帯)と、中国沿岸部-東南アジア-インド-アフリカ-中東-欧州と連なる「21世紀海上シルクロード」(一路)からなる。新たな経済圏の確立や関係各国間の相互理解の増進などを目的としており、15年10月14日~16日に北京で開催されたアジア政党国際会議(ICAPP)では「シルクロードの再構築と共同発展の促進」がテーマとなった。 コトバンクより引用

実際のところ、2017年8月9日にマレーシア東海岸のクアンタんで行われた起工式には、その証拠ともいえる事実が報道されています。

まず、起工式にはナジブ前首相はもちろんのこと、中国の副首相である汪洋氏、中国交通建設 ( CCCC ) の会長である劉起濤氏が出席しています。

また、起工式の際の進行・司会が、なんと中国語で行われたというのです。マレーシアの共通言語はマレー語。ナジブ前首相もマレー人。それが式の進行が中国語とはどういうことでしょうか。

さらには、式場の周りの看板も中国語で溢れかえっていたようです。これではとてもマレーシアの建設計画とは思えません。完全に乗っ取られている印象です。

資金面においても、また建設時におけるマンパワーにおいても、全面的に中国主導・中国依存で行われる建設計画なのでは、と懸念されていたのも無理はありません。

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ナジブ前首相にも疑惑

それだけではありません。当時のマレーシア側のトップであるナジブ前首相には相当の疑惑の目が向けられていました。

というのも、そもそもナジブ氏が設立した政府系投資ファンド「 IMDB 」が巨額債務 ( 営業 4 年目までに 429 億リンギットの負債 ) を抱え、その救済のためにチャイナマネーに依存。つまり中国側にとっても ”ナジブを利用する” いい口実ができた訳です。

そのあたりから、マレーシアと中国が密接につながるようになり、中国の「 一帯一路 」戦略に飲み込まれていったと考えられています。前ナジブ政権時代には、マレーシア国内で約30件を超える「 一帯一路 」関連プロジェクトが動いていたとされています。

実際、マレーシアの対中貿易は現在シェアトップ。それもナジブ政権が発足した2009年から始まっている話です。ナジブ前首相が中国との関係強化に力を入れてきたことがよく分かります。

ECRL資金への疑惑

そして、今回の中国との鉄道建設計画ですが、建設のための工費の一部が負債を抱える「1MDB」の救済に充てられるのでは?という疑惑が出ています。

政府の発表によると、鉄道計画のために準備されている総工費は 550 億リンギットです。ところが、実際のところはその半分程度の資金で済むはずだ、という記事が出ました。

つまり、総工費を多く見積もり、半分は「1MDB」の返済にまわす、という隠されたシナリオがあるのでは、という疑惑です。

もしそうだとしたら、ナジブ前首相はとんでもない汚職に関係していることになります。

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政権交代に伴う計画の中止

突然の政権交代

このように、もとよりナジブ前首相に対する疑惑と不信がふつふつと高まっていたマレーシアですが、ついに 2018 年 5 月の総選挙で政権交代が実現しました。

現首相のマハティール氏はかねてからナジブ氏の汚職問題を強く糾弾する姿勢を見せていましたが、首相任命を受けたあとすぐに行動を開始し、ナジブ氏への汚職疑惑を巡って事情聴取が行われていました。

急展開の前首相逮捕劇と建設計画の中止

そして、ついにこの度 7 月 3 日に警察当局がナジブ前首相を逮捕。逮捕容疑は「 1MDB 」からの資金流用疑惑でした。有罪なら禁固20年、鞭打ち刑かと言われています。

ナジブ前首相の逮捕翌日 4 日には、鉄道建設計画を実施しているマレーシアの「ECRL」と、建設を請け負っている中国の「CCCC」により、東海岸鉄道の建設作業を中止したことが発表されました。

工事が中止された主な理由は、マレーシアの「国益にそぐわない」というもので、マレーシア側は中国に計画そのものの見直しを含め、債務削減、不正撤廃など契約条件の再交渉を求めているようです。

今後の見通しは?

マハティール首相はこの件に関して、8 月下旬に中国を訪問し、習国家主席との首脳会談を行う予定だということです。

工事自体は昨年 8 月にすでに始まっていて、現在すでに全体の 13 % ほど工事が進んでいますので、今後再開されるのか、それとも白紙に戻るのか、進退が注目されています。

わたし的には、もちろん工事の規模こそ違いますが、ちょっと東京の築地移転計画の中止を彷彿とさせる事件でした。

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