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MM2Hっていうビザでマレーシアに長期滞在できるんだって。
ちょっと待った!「MM2H」と付くビザが3個もあるみたいだぞ?どういうことだ?
ほんとだ。無印MM2Hと、S-MM2Hと、SBH-MM2Hと3つもあって用件も違うぞ!なんだこれ?
それ、半島マレーシアと、サラワク州と、サバ州でそれぞれ別のビザになってるんだよ。
マレーシアの長期滞在向けのビザーMM2H
マレーシアは長期滞在先としてとても人気のある国です。物価も日本より安く、都市部では日本食が手に入り、ゴルフ場も数多くあり、常夏で過ごしやすい国です。
日本との時差が1時間だけで、日本からもマレーシアへの直行便が多数就航していて、気が向いたらいつでも時差ボケを気にせず日本に帰国できるのもメリットの1つです。
マレーシアでは広く英語が通じるため、現地語を学ばないと生活できない!ということはなく、このこともマレーシア移住の人気が高い理由の1つです。
そんなマレーシアには日本人の場合、ビザを申請せずとも、観光目的なら90日間滞在が可能です。
滞在期限前に第三国に出国し再入国すれば、多くの場合さらに90日の滞在が許可されますが、3か月間や半年間なんてあっという間に過ぎてしまいます。
マレーシアに移住してみたい!と思った場合はどうすればよいのでしょうか。
- 留学先を探して学生パスを取る
最近、上限年齢が45歳になったということで、良い選択肢の1つになったかもです。実際に語学学校で学生パスを取ったという、くろこさんの「くろこハウス」のこちらのブログ記事もご覧ください。 - マレーシアで現地採用先を探して雇用パスを取る
- フリーランサーとしてマレーシアのデジタルノマドビザを取る
- マレーシア人と結婚して配偶者パスを取る (なんだか順番は逆な気がしますが…)
- 長期滞在が可能なMM2Hを取る
他にもさまざまな方法がありますが、主なマレーシアに長期滞在する方法はこんな感じでしょうか。
この中でも、10年間の長期滞在が可能なMM2H(マレーシア・マイセカンドホーム)ビザがこれまで大人気でした。
マレーシアに存在する3つのMM2Hビザ?
2021年11月にマレーシア政府によるMM2Hの要件の改正が行われ、申請条件が以前と比べてぐーーんと上がってしまったことを受け、サラワク州とサバ州が独自のMM2Hをそれぞれ発表しました。
その後人気の下がってしまった無印MM2Hを救うべく、2023年12月に新要件が発表され、プラチナ、ゴールド、シルバーという3段階の条件が設定されました。プラチナで申し込むと、自動的に永住権をくれるという太っ腹な設定に。
さまざまな変遷を受けて、現在のマレーシアには3種類のMM2Hビザがあります。
それぞれのMM2Hビザに共通する点は、MM2Hが観光などの社交的な目的でのマレーシア滞在向けのビザなので、マレーシア国内での就労などの活動は禁止されているという点です。
通常は単に「MM2H」と表記される、連邦政府が作った元祖MM2Hを指します。他のMM2Hと区別するため、このブログ内でのみ勝手に「無印MM2H」と読びます。
無印MM2Hには、プラチナ、ゴールド、シルバーと3つの階級が設定されていて、申請時に現地銀行に預ける預金高が異なります。
申請は政府が認可を与えているMM2Hエージェント経由で行う必要があります。個人での申請はできません。
申請手数料は、プラチナクラスは20万リンギット、ゴールドクラスは3,000リンギット、シルバークラスは1,000リンギットです。帯同者の申請には手数料はかかりません。
5年ごとのパスの延長手続きには、申請者と帯同者の両方に対して、1人あたりプラチナクラスは5,000リンギット、ゴールドクラスは3,000リンギット、シルバークラスは1,500リンギットが請求されます。
また、申請者が死亡した場合は、直近の相続人がその権利を受け継ぐことができる規定が2024年6月の改正で追加されました。
サバ州やサラワク州は自治権が強いため、両州へ旅行する場合は、無印MM2Hを持っていても入域時に入国審査を受ける必要があります。
S-MM2Hの「S」は「サラワク」という意味で、サラワク州内に長期滞在可能なビザです。
ただし、サラワク州から半島マレーシアに入境する場合、半島マレーシア側で入境審査はありませんので、実質的に半島マレーシアでの長期滞在も可能だと思われます。
サラワク州独自のMM2Hビザですので、要件や手数料なども無印MM2Hとは異なります。
2023年8月2日に、S-MM2Hビザ保有者の州内での就労を一部認めることがサラワク州政府から発表されました。就労が認められる職種は、非常勤講師や、企業の少数派としてパートナーとなることなど、一般的にサラワク人があまり勤務していない職種に限られるとのことです。
S-MM2H保持者がサラワク州内で就労する場合は、州の移民労働管理局 (ILMU) の承認が必要です。
SBH-MM2Hの「SBH」は「サバ(Sabah)」の短縮形で、サバ州内に長期滞在可能なビザです。
ただし、サバ州から半島マレーシアに入境する場合、半島マレーシア側で入境審査はありませんので、実質的に半島マレーシアでの長期滞在も可能だと思われます。
サバ州独自のMM2Hビザですので、要件や手数料なども無印MM2HやS-MM2Hとは異なります。
サラワク州から随分遅れて策定されたため、「S-MM2H」と名乗る権利を失ってしまったのかもしれません。
3つのMM2Hビザ+αの申請条件の違いは何?
マレーシアの3種類のMM2HビザとPVIPビザの申請の条件の違いをまとめてみました。表に誤りがある場合や、変更があった場合には、コメント欄か、TwitterのDMなどで教えてくださると助かります。
無印MM2H | S-MM2H | SBH-MM2H | PVIP | |
---|---|---|---|---|
居住場所 | 半島マレーシア | サラワク州 | サバ州 | マレーシア (ただしサラワク州とサバ州の滞在については情報なし) |
ビザの期間 | プラチナ: 20年 (5年毎に延長) ゴールド: 15年 (5年毎に延長) シルバー: 5年 | 10年(5年毎に延長) | 10年(5年毎に延長) | 20年(5年毎に延長) |
就労可能 | プラチナのみ就労、ビジネス、投資活動が可能 | O (条件あり) | X | O |
1年間の 最低滞在日数 | 90日以上 | 30日以上 | 30日以上 | 規定なし |
年齢制限 | 25歳以上 | 50歳以上 30-49歳: RM600,000以上の不動産の購入が条件 または医療目的、子供の留学目的があれば申請可能 | 未発表 | なし |
現地銀行の 定期預金額 | プラチナ: 100万米ドル (約154,400,000円) ゴールド: 50万米ドル (約772,200,000円) シルバー: 15万米ドル (約23,200,000円) | 夫婦: RM300,000 (約10,400,000円) 単身: RM150,000 (約5,200,000円) | RM200,000 (約6,900,000円) | RM1,000,000 (約34,500,000円) |
預金引き出し の規定 | ビザ取得1年後以降に、不動産購入目的、医療目的、観光目的に、預入額の50%を引き出し可能 | ビザ取得後1年後以降に、州内の不動産購入目的、自動車購入目的、医療目的、子供の学費目的に一部引き出し可能 最低口座残高は、夫婦の場合RM180,000、単身の場合RM90,000 | 不明 | ビザ取得1年後以降に、不動産購入目的、医療目的、子供の学費目的に、預入額の50%を引き出し可能 |
1か月間の 国外収入 | 不要 | 夫婦: RM10,000 (約350,000円) 単身: RM7,000 (約240,000円) | 未発表 | RM40,000 (約1,380,000円) 以上 |
所有する 流動資産額 | ビザ取得後不動産の購入が義務付けられ、購入後10年間は売却不可。ただしより高い不動産への買い替えは可能。購入しない場合はビザ取り消し プラチナ: RM2,000,000以上の不動産 (約69,000,000円) ゴールド: RM1,000,000以上の不動産 (約34,500,000円) シルバー: RM600,000以上の不動産 (約20,700,000円) | 規定なし | 未発表 | 不要 |
医療保険 | 要加入 | 要加入 | 未発表 | 要加入 |
無犯罪証明書 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
現地保証人 | 不明 | 必要 (認可を受けたエージェントに依頼可能) | 未発表 | 認可を受けたエージェントを通す必要がある |
帯同可能な人 | 配偶者 子供 (実子/継子/養子): 21歳未満。マレーシアで仕事および結婚しないことが条件で21-34歳も可。障がい者は年齢制限なし 自分の親: 義理の親を含む プラチナのみ外国人のメイドも帯同可 | 配偶者 子供 (実子/継子/養子): 21歳未満 両親: 申請者の親のみ | 不明 | 配偶者 子供 (実子/継子/養子): 21歳未満。障がい者は年齢制限なし 両親: 義理の親を含む 家事手伝い: 1名のみ |
マレーシアでの長期滞在には結局どのMM2Hビザがオススメ?
マレーシアの無印MM2Hは申請条件が厳しいため、よほどの財力がないと申請できなくなってしまいました。無印MM2HのゴールドとPVIPを比較するとPVIPの方が条件が良いと思います。
PVIPの方が現地銀行への預入金額が半額なのに、ビザの期間がプラス5年とか、就労までできてしまうっていうあたりはPVIP有利です。
また財産面での条件が低いサラワク州とサバ州のMM2Hなら手が届くという方もいるのではないでしょうか。
ただし、移住先として人気のある都市は半島マレーシアに集中していることと、ボルネオ島から日本への直行便の選択肢が少ないため、サラワク州とサバ州のMM2Hは条件に合わないという方も多いかもしれません。
それでもボルネオ島には豊かな自然が広がり、10年前と比べると都市部の生活環境は非常に整ってきていると思います。日本食材も手に入りやすくなってきています。
それで、条件的に緩めのサラワク州とサバ州のMM2Hでボルネオ島に滞在し、時折半島マレーシアで羽を伸ばす(買い出しに行く)というライフスタイルもありかもしれません。
2024年6月の条件の更新前なら、お金が余るほどあれば無印MM2Hのプラチナ一択!約1億6千万円積めば永住権がもらえる仕様ということでしたが、永住権をもらえる優遇措置が無くなると発表され、あまり魅力的ではなくなってしまいました。
どちらにせよ、まずは短期でマレーシアのいくつかの都市を回って自分に合いそうな街を見つけ、次にその街にしばらく滞在してみる、という方法で自分に合う街を絞り込んでいくのがおすすめです。
どうしても半島マレーシアに住みたいという場合は、ノマドビザなどを活用する方法もあります。詳しく別ページにまとめていますので、よかったらご覧になってください。