イーサン(魚生) ー 縁起をこれでもかと詰め込んだマレーシアの中国正月の名物料理

中国正月が近づくとよく耳にする「イーさん」って誰のこと?有名人がいろんな家庭を回るの?

「イーサン」ってのはね、人じゃないよ。料理の名前なんだよ。

え、はっず… (*> o <*)

イーサンってどんな料理?

イーサンは中国正月でよく振る舞われる、華人の文化がたっぷり詰まった食事です。

イーサンのメインはサーモンなどのお刺身。お刺身を盛り付け、細かく千切りにしたニンジン、大根、キュウリといった色とりどりの野菜を添えます。

他にもポメロ、ピーナッツ、胡麻、揚げたワンタンの皮をどさっと盛り付けて、仕上げとして、上から甘酸っぱいドレッシングをかけて出来上がりです。

それぞれの具材を盛り付ける時に縁起の良い言葉を言いながら盛り付けていきます。

イーサンはスレンバン発祥?

イーサンは元々中国の広東省あたりで生まれ、東南アジアに伝わってきた料理とされています。

一説には、1920年代にマレーシアの九州(Negeri Sembilan)のスレンバンという街に移住してきた中国人が開いたレストランで、縁起の良い目玉料理として提供し始め、全国的に人気になっていったと言われています。

意義あり!イーサンはシンガポールが発祥だ!

1930年代にイーサンはシンガポールに伝わってきたという説もあります。その後シンガポールの腕利きのシェフ複数人で縁起の良い料理を開発し、今に至るのがイーサンだという説です。この2つの説が引き金となってマレーシア人とシンガポール人の間での議論が燃え上がることも。

大声でシンガポール人の前で「イーサンってマレーシア発祥なんでしょう?」なんて言ったらえらい目に遭うことがあるのでご注意を。

イーサンの読み方、書き方

華人文化発祥のイーサンは、漢字で「魚生」と書きます。マレーシアでは「イーサン」、シンガポールでは「ユーシェン (普通語)」と発音します。

イーサンってどんな意味?

イーサンは「魚生」と書きます。書いて字の通り「生の魚」つまり刺身という意味です。

中国語読みをすると縁起の良い響きがあることから、この名前が付けられたと言われています。

中国語の「魚」という音と「余 (あり余る)」が、「生」という音と「升 (増加)」が似た音なので、「富が有り余るほどにどんどん増えていく」というような縁起の良い料理名なんです。

イーサンってどんな味?

イーサンは味を楽しむものではありません。その場の雰囲気、騒がしさ、縁起の良さを十分に味わう食べ物なので、味がどうこう言うのはやめておきましょう。

あえて言うならドレッシングが甘酸っぱい感じなので、イーサンは甘酸っぱい。以上。

イーサンは縁起の良い食べ物ということで、みんなでテーブルを囲み、ぐっちゃぐちゃにして食べます。

盛り付けられた具材をお箸で掴み、高いところから放り投げながら、「ローヘイ!ローヘイ!(幸運がありますように!)」と大声で叫びます。

こうしてイーサンの具材をみんなで”混ぜて”…(荒らして)から、食べます。皿からはみ出しても、机の上がきっちゃないことになってもお構いなし。

それでも全部を平らげることはしない。これがルールです。

お持ち帰りイーサン

最近では、イーサンのお持ち帰りセットなるものが中国正月の時期になると大々的に販売されます。

華人の知り合いの家に行くと、お土産にイーサンセットをくれることも。初めは、この不思議な小袋に色鮮やかなベビースターラーメンが入ったこれってなんだろう?って感じですが、それ、保存用イーサンの詰め合わせです。

イーサンのそれぞれの意味

イーサンは縁起の良いとされるものをこれでもかと詰め込んだ料理となっています。細かいところにまで縁起の良い意味合いが隠されているそうなので、諸説あるものの、いくつか見てみましょう。

お刺身

先ほど取り上げたように「魚」という文字の音は「あまり余る」という別の漢字の音を連想させるため、豊かさの象徴です。サーモンやクラゲなどが盛り付けられます。

ポメロ/ライム

ポメロや柑橘系も豊かさの象徴と言われています。「大吉大利」を連想させるのだとか。

コショウ

さらなる裕福さと幸運を呼び込むために振りかけます。

オイル

オイルを具材の外側から振りかけることで、四方八方からお金が集まってくることを連想するのだとか。

ニンジン

幸運を呼ぶ赤色はニンジンで表現。

大根

青大根(キュウリ)は不老長寿を、白い大根は商売繁盛や昇進をもたらしてくれるとされています。

ピーナッツの粉

金銀に満たされた家を想像させるように、たっぷり振りかけます。ピーナッツは不老不死や長寿の象徴でもあるようです。

ゴマ

ゴマはビジネスが成長することを願って振りかけられます。

揚げワンタン

ワンタンや餃子は元々お金を表す縁起物。床一面がお金でいっぱいになるようにと、隙間を揚げワンタンで埋めます。

具材を高く持ち上げて盛大に散らかす行為

7回「ローヘイ!」と言いながら散らかすことで運気が上がることを表現します。

皿からはみ出す

幸運や財産が皿に収まりきらないくらい溢れているということを表現したいらしく、とりあえずお行儀とか関係なく、ものすごく散らかすのが良いとされているようです。

散らかしたものを中央へ持ってくる行為

さんざん散らかした挙句、具材を今度は皿の中央へと持ってきます。机を囲んでいる全員に幸運や財産が来るように後押しするという意味合いがあるのだとか。

最後はちょい残し

中華文化あるあるですが、料理の皿を平らげると「足りない」という意思表示になる場合があります。イーサンの場合も、富や幸運があり余ってあり余って使いきれないということを願って、食べ残しをします。ゴマ粒を最後の1粒まで残さず…なんてケチ臭いことはいけません。

こんなイーサンです

マレーシアとシンガポールの中国正月の風物詩イーサンについて取り上げました。ドン引きするぐらい縁起物をこれでもかと詰め込んだ料理となっております。

こういう知識を持っておくと、もしもの時にいろんな意味で役立つのではないでしょうか。

この手の縁起物ってのは、昔から代々伝わってくるものですので、もちろん諸説あると思います。何かお気づきの点や追加情報がありましたら、コメント欄でシェアしてください。

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