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マレーシア・デジタル・エコノミー・コーポレーション (MDEC) が、デジタルノマド向けのDE Rantau Nomad Passへの受付を2022年10月1日から開始しました。徐々にこのビザを発給された人の情報が出てきて、税制なども明らかになってきていますので、本ページにまとめました。
このページは政府公式ページではありませんし、ビザの要件などは突然変化することもあります。申請をご検討の方は、政府の公式サイトを必ずご確認ください。
このページの情報が古い、正確でないという点がありましたら、コメント欄かTwitterでお知らせください。
以前にノマドビザがある国をご紹介する記事を書きましたので、ノマドって何?とか、ノマドとフリーランスってどう違うの?という疑問についての詳しい答えはこちらの記事をご覧ください。
また、ノマド生活に憧れているそこのあなた!形からノマドを始めてみるのはいかが?(違
ノマドとしてマレーシアに住みたい人の問題
在宅勤務OKな会社員や、フリーランスや個人事業主であるノマドの方にとって、マレーシアでの長期間滞在のボトルネックとなっていたのはビザ問題でした。
日本国籍保持者は、マレーシアにビザなしで最大90日滞在できるという制度があり、90日が経過する前に第三国に出国してマレーシアに再入国するという「ビザラン」や「チョップ」と呼ばれる手法を用いて滞在期間を延ばすという方もおられます。
でもこの方法ではマレーシアへの入国が保証されているわけではなく、イミグレで強制帰国を食らってしまう場合もあり、オススメできる方法ではありませんでした。
MM2Hを取ったり、マレーシアの現地採用企業に就職することに興味のないノマドでは、マレーシアでの長期滞在のハードルはとても高かったわけです。
そんな中、最近の世界のトレンドに合わせて出てきたのがこの「DE Rantau」というデジタルノマドビザです。
マレーシア政府が打ち出したDE Rantauの詳細
マレーシアでは2022年10月1日からデジタルノマドビザの申請が可能になっています。このデジタルノマドビザに関する現時点での情報をさらっとカバーしてみたいと思います。
リモートワークが可能なフリーランス (個人事業主) だけでなく、日本やその他の国で雇用されている人も、デジタルノマドビザの申請が可能です。
申請にはそのステータスを証明する以下のような書類が必要です。
- デジタル分野のフリーランサー (個人事業主)
クライアントからの業務委託の契約書、発注書 (PO)、またはインボイスのいずれかが必要で、契約期間 (最低3か月) と請求金額が明記されている必要があります。 - フルタイムまたはパートタイムのリモートワーカー (企業に就職しているものの、出社する必要がない人など)
マレーシア国外の企業との雇用契約書 (最低3か月) が必要で、月収または年収額、リモートワークが許可されていることが明記されている必要があります。
デジタルノマドビザの開始時はデジタル系の業種のみに限定されていましたが、現在はそれ以外の職種でも申請可能です。
- IT系: ソフトウェア開発、UX、UI、クラウド、サイバーセキュリティ、ブロックチェーン、AI、機械学習、データ処理関連
- デジタルマーケティング系
- デジタルコンテンツの創作・開発系
- デジタル業種以外の例: 最高経営責任者 (創業者/常務取締役/社長)、最高執行責任者、事業開発、マーケティングマネージャー、最高財務責任者、会計士、営業マネージャー、人事マネージャー、法律顧問、広報マネージャー、コンサルタント、カスタマーサービスマネージャー・担当者、広報マネージャー、総務マネージャー、テクニカルライター、税務スペシャリスト、会計士、プロダクションマネージャー、サプライチェーンマネージャーなど
マレーシアのデジタルノマドビザを申請するための最低年収は24,000米ドル (約 3,598,029 円) です。これは月に換算すると2,000米ドル (約 299,836 円) の収入ということですから、MM2Hのようなビザの条件と比べると手が届かないほど高いというわけでもなく、真面目に働いていれば手が届きそうというのが第一印象です。
今回のDE Rantauデジタルノマドビザでは、Pas Lawatan Ikhtisas (PLIK)という現行のビザが使われます。
Pas Lawatan Ikhtisas (PLIK) は、交換職業訓練生、ボランティア、騎手、アーティスト、映画撮影、宗教の聖職者などに発給されるビザとのことです。詳しくはイミグレーションの公式サイトをご確認ください。
- 3か月以上12か月までマレーシアでの滞在が認められる
- 追加でさらに12か月の延長の申請が可能
- 配偶者と子供の帯同が可能
- 本人: 1,060リンギット
- 帯同者: 530リンギット/人
- イミグレーションでのパス発行手数料: 90リンギット/人 (3か月)。360リンギット/人 (1年)
- マルチプルビザ手数料: 国によって変わるため、イミグレーションオフィスにお尋ねください
詳細な点は急に変化することが多いため、申請前にDE Rantau公式サイトを確認するか、Kura-kura.netのTwitterアカウントをフォローしておいてください。
マレーシアのデジタルノマドビザの申請に必要な書類
マレーシアのデジタルノマドビザの申請に必要な全ての書類は、DE Rantauの申請ページで画像ファイルとしてアップロードします。
申請区分ごとにリストアップしてありますので、該当する項目をタップしてください。
- パスポートの全ページのコピー (空白ページが最低6ページ必要)
- 最新のレジュメ (職務経歴書)
- 直近3か月間の銀行口座の取引明細書と年間収入証明書
- 現在進行中または今後スタートするプロジェクトの契約書、PO、請求書 (最低3か月分で、複数のクライアントにまたがってもOK)
- 無犯罪証明書 (犯罪経歴証明書)
- 保証金フォーム (サイト内でフォームをダウンロードし記入)
- マレーシアで有効な医療保険証書または旅行保険証書
- 最終学歴証明書 (任意)
- これまでに受けた賞の証明書 (任意)
- パスポートの全ページのコピー (空白ページが最低6ページ必要)
- 最新のレジュメ (職務経歴書)
- 直近3か月間の銀行口座の取引明細書と年間収入証明書
- 雇用契約書
- 無犯罪証明書 (犯罪経歴証明書)
- 保証金フォーム (サイト内でフォームをダウンロードし記入)
- マレーシアで有効な医療保険証書または旅行保険証書 (任意)
- 最終学歴証明書 (任意)
- これまでに受けた賞の証明書 (任意)
- 過去3か月間の給与明細 (任意)
ノマドの滞在先としてなぜマレーシアを選ぶのか?
マレーシアの都市部ではデジタルインフラが充実していて、不便を感じることはあまりありません。
日本からも直行便で6-7時間ほどと比較的近いため、クライアントとの対面式の会議への出席や、緊急事態の帰国なども容易で安心です。
DE Rantauの公式ページにはこんな理由と挿絵が掲載されています。
コワーキングスペースなど、自宅以外で作業を行う環境が山ほどあります。
DE Rantau公式サイト
とはいえ、マレーシアのジャングルの中で岩の上に座って仕事は決してしないようにご注意ください。
マレーシアでデジタルノマド生活をするのに欠かせないネット環境
マレーシアでは携帯電話網を使ったインターネット接続や、カフェなどでの公共Wi-Fi接続が可能な場所も充実しています。
ただし、公共Wi-Fiなどに繋いで仕事をする場合、情報漏洩にはくれぐれもご注意ください。VPNサービスを活用するなど、何らかの対策は必須です。
またウェブライターなどとして生計を立てておられる場合、マレーシア(外国IPアドレス)からウェブサーバーに繋ぐと、接続を拒否られる場合があり、この場合もVPNサービスが必要です。
私も日常的に使っているお得なVPNサービスについては記事にまとめてありますのでそちらをご覧ください。
マレーシアのデジタルノマドビザ取得者向けのDE Rantau Hubって何?
マレーシアのデジタルノマドビザと関連してDE Rantau Hubという政府プログラムが始まっています。
DE Rantau Hubプログラムは、デジタルノマドのライフスタイルに合わせた宿泊サービスを提供する施設を認定し、海外からのノマドを呼び込み、定住してもらうことが狙いです。
また、そのようなデジタルノマドの必要を満たした施設を全国に増やすために補助金を出したりもしているとのこと。
宿泊施設でDE Rantau Hubの認定を受けるには様々な要件が設定されています。
- 交通の便や生活利便性が良い。
- ノマドの仕事に必要な机と椅子や高速インターネットが完備されている。
- 個室または相部屋で、ベッドとバスルームが完備されている。
- キッチンまたはパントリーが完備されている。
- キャッシュレス決済が可能。
- セキュリティーが良いこと。
こんな感じの要件が設定されていて、2023年2月末時点では、ペナン、ランカウィ、KLの2000件以上の施設が認定を受けています。
今後、マラッカ、イポー、ジョホールバル、コタキナバル、クチンに拡大する予定とのことで、アドレスホッパー的なライフスタイルも可能になるかもしれません。
もちろんDE Rantau Hub認定宿泊施設のみを利用すべきということはないので、お気に入りの場所に賃貸を借りて生活したり、Airbnbなどで好きな場所に住むことも可能です。
マレーシアのデジタルノマドビザで気になる税金の扱い
2023/1/16版のFAQシートで、マレーシアのデジタルノマドビザ取得者への課税について説明が追加されました。業務形態と源泉の場所によって異なるようです。
詳しい情報については、マレーシア国内の税務官にお尋ねください。担当税務官の電話番号がFAQシートに載っていますので、PDFファイルの7ページ目に記載されている最新の番号をご確認ください。
マレーシアの所得税法(1967年)に基づいて課税、非課税が決定されます。
源泉がマレーシア国外: 所得税法の4(a)条と7条に準拠します(基本的に課税されないと思われますが、詳しくはマレーシア国内の税務官にお尋ねください)。
源泉がマレーシア国内: 最初の182日間の滞在期間に対する税率は所得税法の109B条に準拠して、所得の10%またはDTAで指定された優遇税率が適用されます。それ以降は所得税法4(a)条と7条と12条に基づき、ビジネスを行う居住者とみなされ、課税対象となります。
源泉がマレーシア国外: 所得税法に基づき、最初の60日間のマレーシア滞在分に関しては非課税となります。マレーシア滞在61日目以降については所得税法7条に基づき、居住者とみなされ、課税対象となります。
源泉がマレーシア国内: マレーシア国内の企業に就職して収入を得ている場合は、このデジタルノマドビザの適用外となるため、FAQシートには記載がありません。
【実体験!】マレーシアのデジタルノマドビザの取り方
マレーシアのデジタルノマドビザの申請について、旧Twitterでchiruさんやしんぷる内藤さんが、ノマドビザの発行まで漕ぎ着けたとの情報を見つけました。
ご本人の許可をいただいて、経緯についてまとめられたnote記事を貼らせていただきます。実際に経験者じゃないと分からない有益なTipsが満載ですので、合わせてご覧ください。
マレーシアのデジタルノマドビザについてのよくある質問
公式サイトで「よくある質問集」のPDF版がダウンロードできるようになっています。その一部をざっくり翻訳してみます。
- マレーシアのデジタルノマドビザの申請時にマレーシアに滞在している必要がありますか?
- いいえ。
- 申請の年齢制限はありますか?
- 申請者は18歳より上 (over 18 years old) である必要があります。
- 家族を帯同できますか?
- 配偶者、事実婚のパートナー、18歳未満の実子または養子 (障害を抱えている場合は年齢制限なし) を帯同可能です。
- 帯同している配偶者はマレーシアで就職できますか?
- いいえ。
- 帯同する家族がマレーシアに入国する場合、ノマドビザ保有者に同伴して入国する必要がありますか?
- ノマドビザ保有者がマレーシアに入国した後であれば、帯同家族は個別に入国可能です。
- マレーシアのデジタルノマドビザはマルチプルビザですか?
- はい。出入国は自由です。
- 申請時のパスポートの有効期限が6か月以内の場合、デジタルノマドビザの有効期限はどうなりますか?
- 申請の要件として、パスポートの有効期限が14か月以上なければなりません。新しいパスポートを取得してください。
- DE Rantauのノマドビザでマレーシア国内の銀行の口座を持てますか?
- マレーシアのほとんどの銀行では、この種類のビザの保持者の銀行口座の開設を受け付けていません。詳細についてはご希望の銀行にお尋ねください。
- 帯同する子供はマレーシアの学校に入学できますか?
- 学校によって要件が異なります。詳細についてはそれぞれの学校にお尋ねください。
- DE Rantauのノマドビザで、サバ州やサラワク州に滞在できますか?
- 現時点では、このノマドビザでは西マレーシアでしか滞在できません。サバ州やサラワク州へ入境する場合は、それぞれの州の観光パスで入境することになります。
現在MDECはこの制限を解決するために関係州と交渉中です。
- マレーシアのデジタルノマドビザの手続きにはどれほどの時間がかかりますか?
- 申請書は提出から6-8週間で処理されますが、審査のために別途書類が必要な場合などより長い期間を要する場合もあります。申請が受理された後、約1週間でビザのステッカーが発行されます。
- デジタルコンテンツの作者で、特定のクライアントとの契約がありません。その場合はどうすれば良いですか?
- ご自身がデジタルフリーランサーであることを証明する必要があります。デジタルコンテンツの作成によって得られている売上の証明を添付してください。
- 自分の申請書の審査状況を確認できますか?
- https://malaysiadigital.mdec.my/ でご確認ください。
- 申請時に必要なスポンサーはどんな人がなれますか?
- マレーシアに登記されている会社で、申請者のマレーシア滞在中の保証人となれければなりません。デジタルノマドビザの申請のためのスポンサーを見つけるのが難しい場合は、MDECがスポンサーになることも可能です。詳細についてはMDECにご確認ください。(MDECがスポンサーになる場合の保証金は、日本人の場合RM1,000です)
- デジタルノマドビザの申請が却下された場合はどうなりますか?費用の払い戻しは行われますか?
- 却下の日から3か月以内は不服申し立てが可能です。却下された場合、支払った費用の50%の払い戻しが受けられます。
- DE Rantauノマドパスの申請、書面の提出などを行うエージェントについて教えてください。
- Malaysia Digital Economy Corporation Sdn Bhd
2360 Persiaran APEC, 63000, Cyberjaya, Selangor
パスの発行: Expats Service Centre
2nd Floor, Prima 8, Block 3508, Jalan Teknokrat 6, Cyber 5, 63000, Cyberjaya, Selangor
- デジタルノマドビザの有効期限が切れた場合どうなりますか?
- 現在のビザの有効期限の2か月前から延長申請が可能です。
- デジタルノマドビザの更新に必要な書類は何ですか?
- 1. パスポートの全ページのコピー
2. 申請費用の支払い
3. 3か月以上の業務契約書
- デジタルノマドビザの更新にはどれほどかかりますか?
- 申請書は提出から4週間以内で処理されます。申請が受理された後、約1週間でビザのステッカーが発行されます。
- デジタルノマドビザをどのように受け取るのですか?
- 外国にいる場合:
マレーシア入国にビザが必要な場合は、evisaサイトを利用するか、マレーシア大使館で受け取ってください。
マレーシア国内にいる場合:
観光パスでマレーシアに入国している場合は、一度マレーシアを出国し、パスのステッカーの発行のために再入国する必要があります。evisaサイトを利用するか、マレーシア大使館で受け取ってください。
就労ビザや学生パスでマレーシアに長期滞在している場合は、次の質問をご確認ください。
- 現在就労ビザでマレーシアに滞在しています。就労ビザが切れた後にデジタルノマドビザに切り替えるためには、マレーシアを1度出国する必要がありますか?
- マレーシア滞在中に申請が可能です。現在の会社のリリースレターを準備してください。また、マレーシアを出国したくない場合は、現在の就労ビザの有効期限の短縮の手続きが必要です。
- 現在学生ビザでマレーシアに滞在しています。卒業後にデジタルノマドビザに切り替えることは可能ですか?
- マレーシア滞在中に申請が可能です。大学課程を修了したことを示すリリースレターと成績証明書を大学に発行してもらい、現在の学生ビザの有効期限の短縮の手続きが必要です。
マレーシアのデジタルノマドビザ
大幅に刷新されたMM2Hビザや、PVIPビザなど、超お金持ち優遇のビザの発表が多かったマレーシアでしたが、世界の波に合わせて、海外を旅するデジタルノマドのフリーランサー向けのビザを打ち出してきました。
いきなりデジタルノマドとしてマレーシアで移住!ってのはハードルが高いかもしれませんが、日本人の場合、マレーシアにはノービザで90日滞在できますので、一度下見に来てみることをお勧めします。
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今から少しずつ準備を行なっていけば、近い将来に夢が叶うかもしれませんね。